体幹とデザインの共通性

最近ではどんなスポーツを見ても体幹を重視したトレーニングを取り入れていて、アスリートじゃなくても、また体幹について詳しく知らなくても、なんだか体幹ってとても重要らしい。というのはご存知ですよね。
また体幹と一緒にインナーマッスルという言葉もよく耳にすると思いますが、この2つの違いも実は曖昧な方も居ると思います。自分もそうでした(笑)
まずは体幹とインナーマッスルを整理してから「体幹とデザインとの共通性」の本題に入りたいと思います。

体幹とインナーマッスル(アウターマッスル)の違い

インナーマッスル[図右側]
体の中心部に近い筋肉を指します。深層筋とも呼び、腹部周りだけでなく腕や脚なども含め全身にあります。

アウターマッスル[図左側]
インナーがあればアウターもありますよね。その名の通り、体の外側(皮膚側)にある筋肉でこれも全身にあります。

体幹[胴体全体]
体の中心(幹)となる部分で、胴体部分の場所を指し、腹筋だけで無く、背中や腰周りも含めた胴体全体を指すため、インナーマッスルとアウターマッスルも含みます。体幹を重視したトレーニングでは、主にその胴体部分のインナーマッスルを指すことが多いです。

鍛えにくい体幹

じつは腹筋(アウターマッスル)は表面にありとても鍛えやすいですが、この体幹のインナーマッスルは、ただでさえ体で一番太い部分の一番深いところにあり、また一番大きな筋肉でもあるため、鍛えるのが難しく、腹筋のように目に見えないため鍛えても実感が湧いてこないというやっかいものです。

体幹の役割

体幹の大きな役割としては、動きを生みだす大切な土台であり軸となること。また身体を支え安定させることで姿勢を維持し続けることにも繋がります。
そのため、スポーツの世界だけでなく、美容やダイエット業界でも体幹の重要性やトレーニング方法が紹介され、さらには著名なスポーツ選手たちがトレーニングに取り入れることで、ますます話題になっているのです。


ロードバイク世界選手権で優勝したプロ自転車選手のコアトレーニングの様子

体幹とデザインの共通点

ここからやっと本題。デザイナー的な立場からのお話です。
実はこの体幹、個人的にはデザインで言うコンセプトと同じだと考えています。
「練り上げる(鍛える)のは難しいが、デザインの根幹にある大きくて大事な物。一旦練り上げて(鍛えて)しまえば、ぶれない軸を作ることができる」
そう、コンセプトと全く同じです。
「コンセプトさえしっかりと固めてしまえば、デザイン的(表面的)な肉付けは何をやっても軸はぶれない」
→スポーツであれば、「体幹がしっかりしていれば、どんな動きにも軸をぶらさずに対応できる」
となります。

まずは体幹とコンセプトの共通点はありましたね。
他にも体幹の鍛え方にデザインとの共通点が無いか検証してみました。

体幹を鍛える手法の一つ「ドローイン」

ドローインは体幹に限らず主にインナーマッスルを鍛える方法ですがそれをお腹周りに応用することで体幹が鍛えられます。
方法は地道なゆっくりとした動きに呼吸法を加わえ、呼吸のタイミングに合わせて筋肉を使うことで鍛えにくいインナーマッスルにより大きな効果を与えることが出来ます。
簡単に言うと、体幹を鍛えるのであれば「お腹をへこませたままゆっくり呼吸をする」と一番奥にある筋肉が収縮し鍛えられると言うこと。もちろん腕立て伏せも同様にやれば、腕のインナーマッスルも鍛えられます。

腹筋してるつもり(笑)

呼吸のタイミングは

1.筋肉が縮む時に吐く 2.筋肉が伸びる時に吸う
筋肉の伸び縮みに呼吸を合わせるのが正解。

またやみくもに筋肉を鍛えても効果はなかなか上がりません。どこにどのくらいの大きさの筋肉がついているのか? 内臓の位置は? など知識としてそれを知っておくだけでどこの部位を動かせば良いか分かってきます。

内臓の位置も知っておこう

共通点その1

体幹がコンセプトとすると、体幹同様にコンセプトは目に見えず鍛えるのが難しいため、常日頃から意識を持っていろんなものを見ていることでしょうか。
アウターマッスルが表面的なデザインの飾り付けとすると、いろいろなものを見てセンスを磨くことももちろんですが、最近では知識としてアプリケーションの使い方をマスターすることも重要だったりします。もちろんウェブでは動線も重要で、それらの知識を身につけることは筋肉の位置を把握するのと同じかもしれません。
呼吸のタイミングは流石にデザインとは関連付けられませんでした(笑)

正しい姿勢を保つ

トレーニングを正しい姿勢で行うことも重要です。
姿勢が崩れたままトレーニングをしても無駄になることも。また仙骨を立てることを常に意識しゆっくり深い呼吸をしているだけでもトレーニングになります。
姿勢だけでなく、マシンに対しての足の向きや細かな角度などが異なっても効果が半減します。
正しい姿勢を保てないまま目標時間まで頑張るよりも、姿勢が崩れる前に止めて、それを何度か繰り返してトータルの時間を同じにしたほうが良いです。

背もたれに寄りかからずに姿勢を保とう

共通点その2

デザインでも姿勢が崩れているときは、ダラダラと作業を続けていたり(実際に単純作業の繰り返しの時もありますが)と思考力が停止しているときが多いと思います。集中したいときには仙骨を意識し姿勢を正し、深い呼吸をするとデザイン作業も効率がアップします。
普段から電車で立っている時(例え座れたとしても背中を付けずに居ること)や会社で椅子に座っている時も、この仙骨を意識をして正しい姿勢でいるとだんだん楽に姿勢が保てるようになります。
(仙骨の話は深いので僕の知識量では説明しきれませんのでご容赦ください)
この姿勢を保つことでずっとお腹に力が入り続けることになるので、実はお腹周りのダイエットにはかなりの効果が期待できます。

結論として、体幹とデザインの共通性はある?

デザイナーに筋トレしろとはもちろん言いませんが、正しい知識を得た上で表現を組み立てる重要性は同じ。ターゲットを明確にする、製品や商品の隠れた特徴を掘り起こすなど、デザインの表現に入る前にやることはいろいろとあります。
それにアート的な感覚だけで捉えていると「どうしてこの色がよいのか」「どうしてこの位置にキャッチを置いたのか」などとクライアントから理由を尋ねられた時に説明が上手く出来ないですよね。説明ができない=正しく理解できていないに繋がります。
ただ、体幹を鍛えることでダイエット効果を上げるように、デザインで制作コストのダイエット効果を上げるにはアイデア次第といったところでしょうか?

いつかは職場にバランスボールを導入したいと思っている佐俣です。(^^)