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「ばるぼら」に出会ってみたい
第218回
先日テレビで手塚治虫原作の禁断の問題作!じゃなかった芸術作品とも言える美の女神と才能あふれる小説家とのストーリー「ばるぼら」の映画の宣伝をやっていました。(詳しくは公式サイト※1でご覧ください)
映画化されたのを知らなかった自分は思わず「あっちょんぶりけ!※2」と驚いてしまったのですが、そんな言葉が今になっても出てくることや、かなり昔のニッチな漫画が映画化されるなんて手塚治虫は天才だなと改めて思わされました。
「あっちょんぶりけ!」はご存知「ブラックジャック」の「ピノコ」が使っているのですが、他にも「~なのよさ」とか色々と印象深い造語がありました。そんな言葉を造りだせるのだからコピーライターの才能もあったのだと思います。
手塚治虫著「マンガの描き方」の中で、「音ひとつしない場面に「シーン」と書くのは、じつはなにをかくそうぼくが始めたものだ。」と書かれているそうですが、マンガに取り入れたのは本当に手塚治虫が初めてなのかもしれません。擬音が入るだけで漫画に臨場感がとても出るので、本当に凄いことだと思います。
少し前にもAIが手塚治虫作品をデータ化し、まるで手塚治虫が描いたかのようなストーリーとキャラクターの「ぱいどん※3」が話題になりましたが、これも手塚治虫という天才に現代の技術がどれだけ近づけるのか挑戦した結果だと思います。
あまりにも作品が多すぎて知らない作品も多いですが、個人的には「火の鳥」が一番好きで繰り返し読みました。ブラックジャックも子供の頃に読み始めたものの、病気がシュール過ぎて怖くなりすぐに読むのをやめて以来、大人になっても読んでません(笑)
商業デザイナーはアーティストや芸術家とは異なるため、「ばるぼら(それに似た存在やその人にしか見えない存在)」と出会うことはまず無いと思いますが、本当に才能を持った芸術家にはきっと「ばるぼら」がそばに居るのじゃないかなと思います。
※1 ばるぼら
※2 あっちょんぶりけ 「ブラックジャック」に出てくる「ピノコ」が使っている造語で感情表現のひとつ。
ピノコ語講座を印刷したトイレットペーパーもあるらしい(欲しい!)
※3 ぱいどん「TEZUKA2020」の名の下、AI技術と人間で手塚治虫の新作漫画制作に取り組んだプロジェクトで生まれた作品